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2008年08月09日 用悪水路(続)

 長野市郊外で目にとまった全幅20cm程度の用悪水路、宅地内の排水路ではありません。あまりに狭いので測ってしまいました。当日は水が流れていませんでしたが、この幅でも土石流危険渓流なのですから。
 おそらく狭くても大雨による土砂や倒木でせき止められたらダム化するのでしょうか。ちなみにこの辺、昨年土砂災害防止法による警戒区域(土石流型)が二重三重に重複指定されました。

20080809-1.jpg

 キーワード検索の3位が用悪水路。この地目に類似したものに「井溝」(せいこう)があります。
不動産登記事務取扱手続準則第68条
「十六 用悪水路 かんがい用又は悪水はいせつ用の水路」
「十九 井溝 田畝又は村落の間にある通水路」 
 さて「用悪水路」と「井溝」の違いとは?
 文献(地目認定)に「耕地にみられる井溝と灌漑用の末端水路とを外観上一見して区別することは困難を伴いますが、田畝すなわち田畑に取水するための用水路ではなく、単に落し水や湧き水などを排泄する通水路が井溝であり、この点において灌漑用の用悪水路と区別します。」と説明。
 井溝は農家集落内にある水路で比較的水量が多いように思います。昔飲み水の通水路として使われたようですのできれいなのでしょう。まれに工場内の隅や湖の近くを流れていたり。そういえば前に仕事で法人所有の井溝があって驚いたことがあります。
 用悪水路の種類は用水路、排水路、用排水路などさまざまですが、水田脇にある大半はこれだと思います。水路調査をしても支流だと名前すらわからないことがあり、昔と違って水田が年々無くなってますので仕方ないかもしれません。
 私の経験上、井溝や用悪水路の不動産評価は価値なし又は非常に小さいかと思います。開発行為によりできる宅地内の排水路は別として。地方には敷地内に用悪水路を介在することが多く見られます。利用上不便ですし、付け替え、払下等減価要因となることが多いでしょう。

 ところで水路幅について下記文献(法定外公共物の成立と境界確定の実務)には興味深い記述があります。
「条理地割で法定外公共用財産である農道・水路がどのように配置計画されたかを検討すると、
 ‐鰺地割で関係面積が2坪(現在の2町歩=2ヘクタール)までの関係面積を持つ水路は井田地割の遂とみられるから
 水路幅………1尺(30cm)
 水路深さ……1尺5寸(45〜50cm)
 水路敷幅……3尺(90cm)
となる。
 古代水路はすべて土水路で、法面勾配は古墳土木技術から推定すると4分の3直角(67度30分)で、約6分〜7分勾配となるから、水路底幅30cm、法幅左右合計で60cmとなり、水路幅は90cm〜1mで、水路築造工程からみると地盤面での水平幅となり田面上にある畦畔は水路幅に含まれない。省略」
 この中で「井田地割」は中国の井田制に基づく道路・水路の規格のひとつで日本の条里制の元になったと言われています。
 中国の周時代(紀元前1046年ごろ-紀元前256年))にはすでに耕地や灌漑面積によって水路幅・深さを決めていたなんて恐れ入ります。
 そういわれてみれば90cm程度の用悪水路はきわめて多いですね。実務的で理論的な幅だったとは。
 井田は”せいでん”と読みます。井溝を”せいこう”と読むのもなんらかの関係があるのかもしれませんね。
井田制(せいでんせい)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E7%94%B0%E5%88%B6
引用参考文献:法務省民事局第三課監修「表示登記教材 地目認定」179p財団法人民事法務協会編集、塚田利和著「法定外公共物の成立と境界確定の実務」31p,32p新日本法規出版株式会社

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