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2008年08月18日 信託登記1

飯綱町(2008/4/11撮影)でふと見つけた霧の引き揚げ。

20080818-1.jpg

 不動産証券化やファンド組成の影響からでしょうか、ここ数年、信託登記が大幅に増加しているようです。平成16年信託法の改正、平成19年7月施行の改正金融商品取扱法など法整備の充実がそれを後押ししているのでしょう。
信託法改正
http://www.shintaku-kyokai.or.jp/trust/trust03_04.html
金融商品取扱法
http://www.fsa.go.jp/policy/kinyusyohin/index.html
「信託法の改正等を踏まえた新たな土地利用・管理手法に関する研究会」報告書の公表について
http://www.mlit.go.jp/report/press/land02_hh_000008.html
 そこであまりなじみのない信託登記を2回に分けてちょっと話題に。
 共同ビルを建てる場合、所有者のひとりが破産すると裁判所の競売手続(差押)が進行し、工事がストップしたり債務処理にややこしい問題が生じます。実際、再開発ビルや共同ビルのような大きな建物ですと地権者が一人ではないので、この問題が発生しやすいことと思います。
 文献(信託登記の理論と実務)に「多数の地権者の共有となる土地・建物について、多数の地権者に相続、破産等が生じた場合にも、安定した施設運営を行うため、地権者の個々の共有財産を共同して信託することにより所有権の一体化を図り、担保性の向上による資金調達を可能とすることを目的として、受託者名で当該信託財産の管理運用(賃貸等)を一体的に行うためのものであります。」と記述。
 信託にすると所有者のひとりに相続が発生しても貸しビル、マンションのような賃貸事業は影響を受けないのがメリットのひとつ。実際、相続に伴う契約のし直しや書面の書き換えなど手間は多いようで、相続人は所有者の持っていた受益権を相続して引き続き信託による配当を受けられるのであれば、こういう煩わしさがなくて楽でしょう。
 実務上、信託登記をすると不動産の全部事項証明書は下記のように表示されます。
1番 所有権移転 平成何年何月何日第何号 平成何年何月何日売買 権利者A
2番 所有権移転 平成何年何月何日第号  平成何年何月何日信託 受託者B
   信託                      信託原簿第何号
 こういう登記がありますと、信託契約の内容は信託目録を見ると概要がわかります。全部事項証明書をとるとき「信託原簿第何号付」と記載して法務局に申請すれば信託目録が添付されて見ることができます。ちょうど共同担保目録を取るときと同じような扱いですが、つい添付申請し忘れてしまうことが多いでしょう、私も含めて。
 信託目録は、
「委託者の氏名及び住所、受託者の氏名及び住所、受益者の氏名及び住所、信託管理人の氏名及び住所、信託条項、予備」が記載(不動産登記規則別記第5号)してあり、この中で下記のように信託条項(全訂不動産登記書式精義下より引用)を閲覧するとどういう信託契約なのか検討がつくことも。
(例)信託条項
 信託の目的 管理並びに処分
 信託財産の管理方法
 一、受託者は本信託不動産の貸付、賃料取立、工事その他本信託財産の保存、利用及び改良等一切の管理をするものとする。
 二、委託者又は受益者は、受託者の承諾を得たときは、信託不動産を無償で使用することができる。省略
 三、受託者は、本信託財産を管理し、受託者の承諾を得て処分するものとする。
 四、本信託財産に属する金銭は、適当と認める銀行に預け入れることができる。
省略
 信託終了の事由
 一、契約期間は、次のとおりとする。
  自用昭和何年何月何日至委託者死亡後十五か年
  前項の期間は、その満了前で、委託者死亡後五年以後は、受益者から請求があったときは延長することができる。省略
 二、委託者は、本信託契約の解除をすることができない。
 省略

 不動産の証券化・流動化が進むためには、こういう分野の発展進歩が不可欠なようで。ただ、実務上、担保権者が受託者になったり、受益権の評価が問題になったりといろいろありそうです。
引用参考文献:藤原勇喜著「信託登記の理論と実務」90p民事法研究会、香川保一編著「全訂不動産登記書式精義下」375p,376pテイハン

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