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2012年10月31日 善光寺地震1

 写真は長野市信更町涌池(しんこうまちわくいけ)にある水篠橋(みすずばし)付近のようす。犀川(さいがわ)の右岸は、地すべり危険箇所に指定されていて崩れやすく、実際1911年8月に犀川をせき止めるような大きな崩壊が起きています。小規模な崩壊は数多いため対策工事がくり返し行われてきました。

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 1847年長野市内を中心にマグニチュード7.4の善光寺地震が起きました。この地震により虚空蔵山(岩倉山)の西斜面(写真の犀川右岸)が大崩壊して土砂や巨石が水篠橋付近に押し寄せ、犀川(さいがわ)をせき止めました。
 19日間水が貯まって巨大なダム湖(高さ65m・36間)となり、佐久間象山の予想(調査結果)通り一気に決壊しました。ただ、ダム湖の高さは50m説、60m説、65m説、70m説といろいろあるようです。
 決壊した時、「天地をゆるがす鳴動は松代に居ても雷鳴の如く聞こえたと、記録されている」(大地震記録集)そうです。水篠橋から松代城まで直線距離で13.1kmありますから、土砂崩れだけでなくダム湖が決壊する時の音もすごいことがわかります。

 文献(大地震記録集)に「この地辷の際岩倉部落にあった柿の木が、対岸花倉部落にそのまま突上げて、最近までその柿の木は花倉の北の山腹に残っていたが、近時刈られて(株)だけ残っている」とあり、右岸にあった柿の木がすべり落ちて犀川(さいがわ)の左岸(対岸)に押し上げられて生き続けたようです。

 この地震によって数多くの地すべり、土砂崩れが起きました。
 文献(1847善光寺地震報告書)に”松代藩真田信濃守から御用番牧野備前守へあてた届出には、山抜崩大小4万1051か所との記録があり、『鎌原桐山地震記事』の中でも「山抜崩(やまぬきくずれ)、大小4万1051ヶ所」の記録がある。この記録が、松代藩の藩内に関する崩壊箇所数の公式記録である。これがどこに分布するかは、『信州地震大絵図』に表現されている”とあります。
 善光寺地震によって復興費用が膨大となり、松代藩は幕府より1万両(善光寺地震に学ぶ)の借金をして幕末まで財政難に悩むことになります。そういえば1742年の寛保の満水による大水害で松代藩は1万両を幕府から借りていました。
 当時の藩主は真田幸貫(1841〜1844老中在任・松平定信の息子)ですが、2年後に災害地を視察しています。文献(善光寺地震に学ぶ)に「民衆の側からは伝承として幸貫の評判が伝わっている。たとえば長野市芋井の百舌原(もずはら)には、幸貫が巡見したときに腰掛けたという場所に石碑が建てられている。嘉永2年(1849)3月29日の銘が刻まれており、この年に幸貫がこの地を訪れているとある」と視察の跡が残っています。
 当時名君と呼ばれた真田幸貫(ブログ2006年12月5日佐久間象山の砲術参照)は、絵師青木雪卿(せっけい)を雇い、視察に同行させ67枚の風景画を描かせています。文献(善光寺地震に学ぶ)に「ただ、なぜ真景画として、風景を忠実に描かせる必要があったのであろうか。推測するに、幸貫は江戸においてさまざまな大名との交流の中で、善光寺地震の被害の様子を正確に伝えるため、この『巡視之図』を描かせたのではないかと思う」とあります。
 今では震災前後の風景が比較できる貴重な絵図となっています。

 幕末は巨大地震が数多く、百科事典ウィキペディアによれば
小田原(1853,M6.7)−伊賀上野(1854,M7.4)−安政東海(1854,M8.4)−安政南海(1854,M8.4) 豊予海峡(1854,M7.4)−飛騨(1855,M6.8)−宮城県沖(1855,M7.3)−安政江戸(1855,M6.9)
安政三陸(1856,M7.7)−芸予(1857,M7.3)−飛越(1858,M6.7)−青森県東方沖(1858,M7.3)
のように立て続けて起きています。
 大地震の度に江戸幕府は無利息のお金を何万両と貸し出すわけですが、それが幕府崩壊の原因のひとつにもなったようです。
<引用文献>
岡沢要「弘化四年善光寺 大地震記録集」148p〜149p,151p,S57.4
中央防災会議災害教訓の承継に関する専門調査会「1847善光寺地震報告書」24p,H19.3
赤羽貞幸・北原糸子「善光寺地震に学ぶ」125p,131p,2003年
<参考文献>
長野市誌第9巻
石橋克彦「大地動乱の時代 -地震学者は警告する-」岩波新書,1994年
長野郷土史研究会機関誌「長野第87号−飢饉災害特集号−」
<参考サイト>
百科事典ウィキペディア(善光寺地震)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%96%84%E5%85%89%E5%AF%BA%E5%9C%B0%E9%9C%87
日本綜合建設株式会社
http://www.nihonsougou.co.jp/main05.html
善光寺地震 精密地震観測室(気象庁)
http://www.jma-net.go.jp/matsushiro/learning/zenkoji.html

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