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2012年11月07日 善光寺地震2

 写真は、犀川(さいがわ)と金熊川(かなくまがわ・一級河川)の合流点付近のようす。金熊川は大町市八坂(やさか)から生坂村(いくさかむら)東広津(ひがしひろつ)地区を流れ、犀川に合流します。写真の東側近くには名所の山清路(さんせいじ)橋や新山清路橋があります。

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 善光寺地震によって出来た天然ダムの先端がこの付近まできたようです。
 文献(1847善光寺地震報告書)に”岩倉山から崩壊してきた土石が犀川を堰き止めた天然ダムは、高さ約65m、幅約650m、底部の長さ約1000m、上部の長さ約20mの台形をなしていた。この堰き止めによって32kmの長さ、諏訪湖の1.2倍の面積を持つ湖が出現した(高橋、1986)。ダムの下流では水が極端に少なくなり、丹波島渡は歩いてわたれるほどになった一方で、上流では増水した”とあります。
 文献(1847善光寺地震報告書)に”この「池田組大絵図」(口絵5)には、湛水の末端部が犀川と金熊川との合流部から少し上流まで達したことが明確に図示されている。したがって、この絵図(図1-22)は岩倉山崩壊に伴う天然ダム(湛水湖)の南端部を示す確かな証拠である」とあります。
 犀(さい)川がせき止められてできたダム湖の増水した水は、水篠(みすず)橋より、この合流地点からやや上流(写真左側)まできたようです。この間(水篠橋〜合流地点)をパソコンの地図ソフト(プロアトラス)で測ったら29.5km(連続距離)ありました。この説によれば天然ダムの湖面が約30km近くの上流まで続いたことになります。
 また、文献(高橋,1973年)に「この面積は17.5km2になる、諏訪湖の1.2倍の大きさの湖が出現したことになる」とありますから、ダム湖の大きさが計り知れます。ただ、百科事典ウィキペディアによると諏訪湖は13.3km2ですから、今ですと約1.3倍相当に。
 
 そして、19日間貯まったダム湖は決壊して、大洪水が長野市を襲います。
 文献(善光寺地震に学ぶ)に「決壊による洪水高は、犀川出口の小市で6.5丈(20m)、千曲川で二丈(6m)、松代で二丈(6m)、川田で五尺(1.5m)、飯山で一.三丈(4m)、下流の新潟県・長岡でも五尺(1.5m)に達した。洪水はちょうど二十四時間後に新潟に到達し日本海へ出た」とあります。
 文献(1847善光寺地震報告書)に「川中島3堰の堰守(せきもり)を勤めた四ッ屋村中沢家の庭には、大洪水時に流れて来た長径3.5m、短径2.2m、高さ3.5m、重量18.5トンの巨岩があり、大正11(1925)年に庭石として移したという。」とあり、18.5トンの石まで運んだようです。
 前に仕事先の方が「先祖からの話だと安茂里小市(あもりこいち)辺りでは洪水が滝のようだった話が伝わっている」と言われたことがありました。

 文献(長野市誌第9巻)に「三月十三日の犀川大洪水は、三大激流となって川中島地方を襲った。犀川狭隘部で押さえられた水かさ20メートルほどの巨大な奔流は犀口から四方八方へいっきに押しだし、千曲川を乗りこえて河東の村々をも襲った」とあります。
 犀川は千曲川と合流しますが、ショートカットした犀川の大洪水が千曲川を横断して松代町西寺尾地区辺りに達して村々を襲いました。現在、この辺の千曲川の川幅は約525m(堤防と堤防の間)くらいあります。
 今回、ダム湖の長さと決壊の恐ろしさを改めて実感しました。
<引用文献>
中央防災会議災害教訓の承継に関する専門調査会「1847善光寺地震報告書」56p,H19.3
赤羽貞幸・北原糸子「善光寺地震に学ぶ」20p,2003年
「長野市誌第9巻」634p
高橋和太郎、1973年「長野49号」(弘化四年善光寺地の岩倉山崩について)17p、長野郷土史研究会機関誌
高橋和太郎、1986年「長野127号」(岩倉山崩れ)7〜9p、長野郷土史研究会機関誌
<追記>
 前回のブログ「善光寺地震1」で記載した柿の木や天然ダムの高さの話は、上記高橋和太郎氏の「長野49号」「長野127号」の記載を引用(弘化四年善光寺大地震記録集も同箇所を引用)しています。同氏は江戸時代の松代藩の家老河原綱徳が書いた「むし倉日記」の記述資料を基に、地元の古老の話を参考にして天然ダムの大きさ、水深、水位、落差等を詳細に推定しています。特に天然ダムの高さについて各地の地元古老の話(先祖がダムの水で手を洗った話・土蔵に残る水位線等)を調査していますのでとても参考になりました。また、地元郷土史研究家の調査に感服しました。
<参考サイト>
信州大学教育学部附属教育実践総合センター
善光寺地震による被害「3)河川の堰き止めとその決壊による水害」
http://cert.shinshu-u.ac.jp/gp/el/e04a1/class12/class12-3.html
百科事典ウィキペディア(諏訪湖)

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